野湯(のゆ・やとう)は私有地ではないところに温泉が自噴していてその源泉を誰も所有していない場所、つまり『誰のものでもない源泉』が自然界に流れている場所のことです。多くは地面・川底・山肌・岩肌などに自噴していますが、元々そこに温泉施設があったのに閉鎖されて源泉だけが残っている場所などもあります。有志がきちんと管理していて脱衣所や湯小屋まで完備されている綺麗で入りやすい所から、なんとなく湯船らしい穴が作られている所、全くの自然のままで自分でシャベルで掘って湯船を作らなくてはならない所などで野湯といっても様々です。

野湯の魅力は何といっても大自然をダイレクトに感じられること。所有者がいないのですから季節やその日の気候・天気によってお湯の温度や環境も変わります。災害によって形が変化してしまうことも珍しくありません。だからこそ「今はどうなっているかな?」「今日はベストな状態で入浴できるんじゃないかな」なんてその場所にたどり着くまでワクワクしますし、2度と同じ環境で入浴できない毎回違った入浴ができるのが野湯の最大の魅力です。私は野湯を「究極のパワースポット」と呼んでいます。

自然のままの源泉を直に感じられる贅沢な野湯ですが秘境やワイルドな場所にあることが多く、熊が頻繁に出没したり増水の恐れがある場所など危険性のある所も多く存在します。入浴に関しては100%自己責任となりますので行かれる際は事前情報を確認後、十分注意してお出かけください。