温泉のイメージと言われて「湯の花」を一番に思い浮かべるかたも多いと思います。湯の花は源泉の湧き出し時には通常ありません。源泉が空気に触れると減圧・冷却・酸化し始めます。すると温泉の中にある硫黄(硫化水素)成分が化学変化を起こして固まって結晶化し、お湯に溶けずに沈殿物となったものが「湯の花(湯の華、湯華)」の正体です。
一概に湯の花と言っても源泉の泉質によってその成分は異なり、
●硫黄が固まった白や黄色い「硫黄華」
●炭酸カルシウムが固まった白・半透明・透明の「石灰華」
●石膏、芒硝、重晶石などが凝固した「硫酸塩華」
●二酸化珪素が凝固した「珪華(けいか)」
●重炭酸鉄が酸化した茶色の「鉄華(褐鉄華)」
などに分類されています。
湯の花の形状も小さな粒状のものから長い糸状のもの、紙が溶けたようなものまで様々です。細かい粒子の湯の花が無数にお湯に浮遊すると私たちが大好きな白濁湯になります。
そして湯の花の状態もお湯にプカプカ浮いているもの、湯底に沈んでしまうもの、壁面や蛇口などに付着するものなど色々です。湯の花がプカプカ浮いているとゴミのようで気持ちが悪いと思うかたもいらっしゃるでしょうが、湯の花があるお湯は「本物の温泉」である証拠でもあるのです。湯の花は源泉かけ流しの湯口にできやすいという特徴があるため、それが確認できる温泉はまぎれもなく良質な温泉です。
温泉地によっては湯の花をお土産として販売しているところもあり、いつものお風呂のお湯に入れるだけで自宅でも温泉を楽しむことができます。